会社の成長は、従業員の笑顔とともに。

2017年12月の新社屋建設に続き、
2019年12月、旧本社のあった場所に営業倉庫が完成した。



本社は、シャワー室や休憩室などを整備し、働きやすさを追求した設計。
新しい営業倉庫は、沖洲にあった営業所を統合したもの。
地震や津波に対するリスク軽減を図るべく新築したが、
社員が本社に全て集まったことで、事務作業の効率化が進んだだけでなく、
従業員同士のコミュニケーションもますます盛んになっている。

そんなオフィス内で、従業員と机を並べるのが社長の麻植優樹さん。40代の若き経営者だ。




「社長に就任したのは17年の秋です。先代社長の死去に伴い、会社のバトンを託されました。
社内体制の強化については、先代と時間をかけて温めてきたのもの。
今は、その遺志を受け継いで、様々な取り組みを行っている最中です。
 今後は、従業員はもちろん、その家族が安心して暮らせるような職場環境を整えていきます。」



 

コミュニケーションが増えたことで「こんなに頑張ってくれていたのか」
と気づくこともあると語るのは、社長の良き理解者である妻の沙織さん。
「相手がどんな状況か言葉にしなくても感じられるところがあるのがいいですね。
意思の疎通、気遣いがより見えるようになっています。」

 




社内は今、活気にあふれている。
全国各地の荷物を運ぶ中型車や大型車が頻繁に出入りし、スタッフとドライバーの連携もスムーズだ。
 
「職人気質のスタッフたちがプライドを持って作業しています。
みんながお互いの存在を認め合い、助け合う。そんな会社を作っていきたいと思っています」

作業に汗を流すスタッフを嬉しそうに見つめながら、社長が話す。
決して人付き合いが得意な人間ばかりではないが、その表情や言葉の端々には、
人としての強さと温かさが滲み出ている仲間たちだ。

 

ここでドライバーに挑戦したい。
異業種からの転職。

そんな同社に2018年5月、新たな仲間が入社した。
サービス業から業界未経験で転職してきた中村さん。
和歌山出身。転勤で徳島を訪れ、働いていた。



ドライバーに興味を持った理由は、ご自身のドライブ好きから。
パーキングエリアに立ち寄った時に見かけたドライバーの仕事に興味を持ったと言う。

「数ある運送会社から当社を選んだのは、この仕事図鑑がきっかけでした。
他社と比べて情報量も多く、社長の考え方が柔和で若くて革新的に感じました。」


しかし当時、オートマチック限定免許しか持っていなかったという中村さん。
中型免許を取得し、入社。その後、大型トラックを運転したい気持ちが強くなり、
会社の補助制度を使って大型免許も取得。現在は、大型トラックで全国各地へ出向いている。

「大型トラックで多くの荷物を運ぶようになり、物流の一端を担っているという自負が生まれました。
今では、スケジュールを自分で組み立てられるようになり、家族との時間も調整できています。
何より、屋外で自分のペースで体を動かす解放感は格別。
遠方に行けば、その土地の名物を食べたり、景色を見たりするのも楽しみです。
自分の足跡を日本中につける面白さを感じています」



「会社の好きなところはあるか」という問いには笑顔で答えが返ってきた。

「『会社一丸となる』というという言葉がありますが、当社の場合、
一丸となっている丸が小さく少数精鋭であり、絆が強いと思いました。
まだまだミスをすることもありますが、その度に先輩や上司が励ましてくれます。
距離の近さがうれしいですね。

入社して不安が大きかった頃、かけてくれた言葉は今でも印象に残っています。
『慣れるけん、大丈夫やけん』とやわらかい徳島弁で声をかけてくれました。
正直、私は自分から人に積極的にコミュニケーションを取りに行く方ではないのですが、
仲間の存在を常に感じられています。

実際に、初めて行く場所で道が狭ければ、忙しい上司が
『一緒について行ってあげるよ』と同行してくれました。心強かったですね。
昨年は、社員有志で旅行にも出かけてきました。
費用の一部を会社が負担してくれるため、手軽に参加できましたし、
何より、仲間との距離もさらにぐっと近づいたと思います」



他業界からの転職には勇気がいる。
しかし、ここには続けられる環境がありそうだ。
「会社や先輩に恩返ししたい」
と語る中村さんからは、現在の充実した様子が伝わってくるようだった。
 

にしき運送一筋40年、
この会社で本当に良かった。


同社には、入社40年以上のドライバーが在籍している。


60代の長野正義さんは、19歳でにしき運送に入社後、同社一筋に勤務を続けてきた。
会社を移り変わるドライバーが多い中で
一つの会社で人生をまっとうする人がいるという事実。
それだけの優れた環境が、同社にはあったのだ。
 
「当時は、とにかく家族を養っていきたかった。
小さかった子どもたちも結婚し、
今ではかわいい孫の姿を見ることもできます。
安定した収入を約束してくれたこの会社には本当に感謝しています」

 





「この仕事はキツイですか？」という質問を投げかけると、
彼は首を振りながら笑顔でこう答えた。


「荷物の積み卸し作業の時には待ち時間もできるし、
その時間をうまく使って食事や仮眠をとるようにすればいいだけのこと。
どの業種でも仕事のキツさはある。逆に僕にとっては
他の仕事よりもラクかもしれんなぁ」


ちなみに、これだけ長い勤務経験がありながら、
長野さんが大きな事故をおこしたことは一度も無い。
免許証は、常にゴールド。
まさに、若手がお手本にすべきドライバーが同社にはいる。
 

 
働きやすい環境を
つくるため。

 

運送業界は、どこも人手不足の状態が続いている。
それは「キツイ・キタナイ・キケン」という
3Kのイメージが未だに根強いからかもしれない。
 
しかし、運送業界の作業体系は進化している。同社では、エコに配慮したトラックを導入し
週に1度以上は必ず休日がとれるようドライバーたちのシフト体制を管理してきた。

ドライバーたちは事前に会社に告知しておけば、子どもの運動会や私用のために休日がとれるなど
プライベートな時間をコントロールすることができる。

新たにドライバーの数が増えるほど、より幅を持たせた通勤シフトを組むことができるため、
スタッフたちの仕事環境もさらに改善されることになる。
 

さらに、人材を確保することで、社員一人ひとりを守るのも同社の姿勢の表れ。
新たなスタッフを募集し続ける理由の一つになっている。
同社には、事務系職員の採用に際し、大切にしていることがある。

それは、家族や子どもを持つ女性たちの雇用を優先すること。
会社にとっては勇気のいる決断に思えるが、そこには、
「家族や子どもたちがいるからこそ、頑張れる人たちもいる」
という同社の温かな思いが息づいている。


「若い方から中高年まで、人材をさらに充実させたい。
ただし、ただ数が増えれば良いという訳ではありません。
自分の未来と、会社の未来、仲間たちのこと。それを考えられる方々と一緒に未来を作っていきたい。
理想とするのは、働きたい限りは働き続けられる職場です。
その実現のために、事業領域の拡大を含めて様々なプランも進行中です。」


新しい会社の歴史を仲間と共に作る決意を胸に、麻植社長は力強い視線をこちらに向けた。

Data　2023.08.31